更新日:2026年06月04日

この記事の監修
聖マリアンナ医科大学 卒業。 卒業後は、茅ヶ崎徳洲会病院、大村病院で内科医療に従事後、 いがらしクリニックを開業。 クリニック閉業後、医療法人理事長/院長を経て、 リフィルクリニック院長に就任。
「抗生物質はどういう薬なの?」「聞いたことはあるけど何に効くのかよく分からない」と疑問を抱く方もいるかもしれません。抗生物質とは、細菌が原因の症状に効果を発揮する薬のことで、ウイルスが原因の風邪やインフルエンザなどには効かないとされています。
抗生物質とは、細菌感染に対して効果のある薬のことです。抗生物質は、細菌が増えていく仕組みを邪魔したり、細菌の細胞構造を壊したりすることで、細菌を退治します。
もともとは、カビや放線菌といった微生物が作り出す物質から発見された薬を指していました。しかし、現在では化学的に合成された薬を含めた抗菌薬全体を指す言葉として広く使われています。
抗生物質は、細菌以外の感染症(ウイルスや真菌といったほかの病原微生物、非感染性疾患の発熱時)には効きません。不適切な使用は薬が効きにくい薬剤耐性菌を生む原因となるため、医師の指示通りに適切に服用することが求められます。
一般的な副作用として挙げられるのは、下痢や吐き気などの消化器症状です。このような副作用は、薬が病原菌だけでなく、腸内の善玉菌まで攻撃し、腸内細菌のバランスが崩れることで起こります。
また、薬に対するアレルギー反応として、発疹やかゆみ、重篤な場合はショックやアナフィラキシーを引き起こす可能性もあります。アレルギーがある方は、医療機関を受診する際に医師へ伝えましょう。
さらに、抗生物質の系統によっては腎機能障害や肝機能障害といった重篤な副作用が起こる場合もあります。副作用のリスクは薬の種類や服用期間、体質によって異なるため、体調に異変を感じたら速やかに医師へ相談しましょう。
抗生物質を不必要に連用したり、指示通りに飲み切らず途中で中止したりすると、薬剤耐性菌を生み出し、増加させるリスクがあります。薬剤耐性菌とは、抗生物質が効かなくなってしまった細菌のことです。薬剤耐性菌よる感染症は治療が難しくなり、治療期間の長期化や重症化リスクの増加につながります。
また、長期間の連用は、薬を分解・排泄する肝臓や腎臓といった臓器に負担をかけるリスクも高めます。連用によるリスクを避けるためにも、抗生物質は医師の診察によって細菌感染症と診断された場合にのみ、決められた期間と量を適切に服用しましょう。
常在菌とは、私たちの皮膚や口の中、腸の中など、体内のさまざまな場所に住みついている菌のことで、善玉菌・日和見菌・悪玉菌が含まれます。
抗生物質は、感染症の原因となっている病原菌を攻撃しますが、同時に常在菌も攻撃してしまいます。その結果、常在菌のバランスが崩れて副作用の症状が現れることもあるので、医師の指示のもと、必要な分のみを服用することが重要です。
抗菌薬とは、細菌を殺したり増殖を抑制したりする薬のことです。抗菌薬の中には化学的に作られるものもありますが、抗菌薬のうち細菌や真菌といった生き物から作られるものを抗生物質といいます。ただし、一般用語としては、ほぼ同義で使用されることが多いとされています。
一般的に、抗生物質が処方されるのは以下のようなケースです。
まず、細菌性の感染症にかかったときです。発熱や腹痛、発疹などの症状の確認と検査によって原因となる細菌が特定された場合、その細菌に効果のある抗生物質が処方されます。ただし、原因となる最近が特定されなかった場合にも、ウイルスではなく最近感染が疑われる場合には処方されます。
次に、ケガをしたときです。ケガをして傷口から侵入した細菌に対してや、細菌の侵入を防ぐために、抗生物質が配合された塗り薬が処方されるケースがあります。傷口から多く浸出液が出ている場合や臭いがする場合は細菌感染している可能性があり、抗生物質で治療します。
抗生物質は細かく分類されており、それぞれ効果のある細菌が異なります。ここでは、抗生物質の種類と効果を解説するので、特徴や違いを比較しながら確認してみてください。
ペニシリン系は、βラクタム系抗生物質の一つです。細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌作用を発揮します。主に細菌性肺炎や中耳炎、扁桃炎などの感染症の治療に広く使われます。ペニシリン系について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・アモキシシリン ・アンピシリン ・ペニシリンG |
| 効果 | 細菌の細胞壁の合成を阻害し、殺菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・細菌性肺炎 ・中耳炎・扁桃炎・皮膚感染症 |
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| 副作用 | ・発疹 ・アナフィラキシーショック ・下痢 ・悪心 |
副作用として注意が必要なのは、重篤なアレルギー反応とされるアナフィラキシーショックで、過去にアレルギーがあった場合は医師に申告しましょう。そのほか、発疹や下痢といった副作用が起こる可能性もあります。服用する際は、医師の指示に従い、用法・用量を守りましょう。
セフェム系は、ペニシリン系と同じβラクタム系抗生物質です。細菌の細胞壁合成を阻害することによって、殺菌的に作用します。ペニシリン系よりも安定した構造を持ち、効果の範囲が広いのが特徴です。以下の表では、セフェム系の効果や副作用などについてまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・セファレキシン ・セフピロム ・セフトリアキソン |
| 効果 | ペニシリン系と同様に細胞壁の合成を阻害し、殺菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・肺炎 ・気管支炎 ・尿路感染症 ・皮膚感染症 |
| 副作用 | ・発疹 ・アナフィラキシーショック ・下痢 ・腹痛 ・肝機能障害 ・腎障害 |
薬が開発された時期によって第一世代から第四世代などに分類され、世代が新しくなるほど大腸菌などに対する効果が高くなる傾向があります。呼吸器感染症や尿路感染症、皮膚感染症などに使用されますが、重症度や感染部位によって適切な世代の薬が選ばれます。発生頻度はまれなものの、副作用にも注意しましょう。
カルバペネム系は、ペニシリン系やセフェム系と同じβラクタム系に属します。既存のβラクタム系抗生物質を分解する酵素の影響を受けにくく、幅広い抗菌効果を持つのが特徴です。カルバペネム系について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・メロペネム ・イミペネム ・ドリペネム |
| 効果 | 細胞壁合成を阻害し、幅広い細菌に有効 |
| 主に効く病気 | ・肺炎 ・敗血症 ・感染性心内膜炎 |
| 副作用 | ・消化器症状 ・発疹 ・中枢神経症状 ・腎機能障害 |
カルバペネム系は、多剤耐性菌による感染症や原因菌が特定されていない重症感染症などの治療で使用されます。具体的には、重症の肺炎や敗血症などです。強力な作用と耐性菌を作らせないという観点から、使用が限定されている薬でもあります。副作用には消化器症状や腎機能障害が現れる可能性があるため、慎重な判断が必要とされています。
マクロライド系は細菌のタンパク質合成を阻害することで、増殖を抑える作用があります。ほかの抗生物質が効きにくい、マイコプラズマやクラミジアなどに強い効果を持つのが特徴です。以下の表では、マクロライド系の薬や効果、副作用についてまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・クラリスロマイシン ・アジスロマイシン ・エリスロマイシン |
| 効果 | 細菌のタンパク質の合成を阻害し、静菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・マイコプラズマ ・クラミジア ・副鼻腔炎 ・肺炎 |
| 副作用 | ・下痢 ・悪心 ・嘔吐 ・肝機能障害 ・QT延長 |
マクロライド系は肺炎や気管支炎、副鼻腔炎などに広く用いられます。主な副作用は、下痢や吐き気といった消化器症状です。また、心臓の電気的な興奮の伝達に影響を及ぼし、QT延長という不整脈を引き起こす可能性もあります。
ニューキノロン系は、細菌の核酸であるDNAの合成を阻害し、細菌を殺す殺菌作用を発揮します。広範囲の細菌に有効で、呼吸器感染症や尿路感染症、前立腺炎など、幅広い感染症に使用されています。ニューキノロン系について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・クラリスロマイシン ・アジスロマイシン ・エリスロマイシン |
| 効果 | 細菌のタンパク質の合成を阻害し、静菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・マイコプラズマ ・クラミジア ・副鼻腔炎 ・肺炎 |
| 副作用 | ・下痢 ・悪心 ・嘔吐 ・肝機能障害 ・QT延長 |
ニューキノロン系の副作用には、吐き気や下痢などの消化器症状、光に当たると皮膚炎を起こしやすくなる光線過敏症などがあります。また、腱炎や腱断裂のリスクもあるので、異常を感じたら速やかに医師へ相談しましょう。
テトラサイクリン系は、細菌のタンパク質の合成を阻害することで静菌作用を示す抗生物質です。広範囲の細菌に効果があり、クラミジア感染症やリケッチア症、ニキビなどの感染症に対して用いられます。テトラサイクリン系の効果や副作用について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・ミノサイクリン ・ドキシサイクリン |
| 効果 | 細菌のタンパク質の合成を阻害し、静菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・ニキビ ・肺炎 ・クラミジア感染症 ・リケッチア症 |
| 副作用 | ・消化器症状 ・めまい ・光線過敏症 ・歯の着色 |
テトラサイクリン系の副作用は、消化器症状や光線過敏症などが挙げられます。また、8歳未満の小児が使用すると、歯牙の着色やエナメル質形成不全、一過性の骨発育不全を起こすことがあるので注意が必要です。医師の指示に従って用法・用量を守り、服用中は強い紫外線に当たることを避けましょう。
アミノグリコシド系は、細菌のタンパク質合成を阻害することで殺菌作用を示す抗生物質です。主にグラム陰性菌感染症に対する活性が強く、敗血症や重症の尿路感染症など、症状の重い感染症の治療に用いられます。以下の表では、アミノグリコシド系の効果や副作用についてまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・ゲンタマイシン ・ストレプトマイシン ・アミカシン |
| 効果 | 細菌のタンパク質の合成を阻害し、殺菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・敗血症 ・グラム陰性菌感染症 |
| 副作用 | ・腎障害 ・聴力障害 ・めまい ・耳毒性 |
アミノグリコシド系の薬は、ほかの抗生物質があまり効かない細菌にも効果を示す一方で、副作用として腎障害や耳毒性などのリスクがあります。血中濃度をモニタリングしながら慎重に投与されるため、風邪のような感染症に使われることはなく、医療機関での使用が中心となります。
グリコペプチド系は、細菌の細胞壁の合成を阻害することで殺菌作用を示します。グリコペプチド系の特徴は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対して効果を持つことです。このため、MRSAによる肺炎や敗血症などの重篤な感染症の治療に使用されます。以下の表で、グリコペプチド系についてまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・バンコマイシン ・テイコプラニン |
| 効果 | 細菌の細胞壁の合成を阻害し、殺菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) ・偽膜性大腸炎 ・敗血症 |
| 副作用 | ・腎障害 ・肝機能障害 ・血圧低下 ・発熱 |
主な副作用として、腎障害や肝機能障害、発熱などの症状が挙げられます。アミノグリコシド系と同様に、副作用のリスクから血中濃度を測定しながら慎重に投与されます。
スルホンアミド系は、細菌が生存に必要な葉酸の合成を阻害することで、細菌の増殖を抑える抗生物質です。スルホンアミド系の薬は単独で使われることは少なく、別の作用機序を持つトリメトプリムと組み合わせたST合剤として使用されます。尿路感染症やニューモシスチス肺炎など、幅広い感染症に対して使用することが可能です。スルホンアミド系の効果や副作用について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・スルファメトキサゾール ・スルファジアジン |
| 効果 | 細菌の葉酸の合成を阻害し、静菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・尿路感染症 ・ニューモシスチス肺炎 ・感染性腸炎 |
| 副作用 | ・光線過敏症 ・消化器症状 ・腎障害 ・血液障害 |
主な副作用には、光線過敏症や消化器症状、腎障害などがあります。また、まれに白血球や血小板の減少といった血液障害が起こる可能性もあります。
オキサゾリジノン系は、細菌のタンパク質合成の初期段階を阻害する、独自の作用機序を持った抗生物質です。代表的な薬として、リネゾリドが挙げられます。MRSAやVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など、重症感染症の治療に用いられます。オキサゾリジノン系について、以下の表にまとめました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 主な薬 | ・リネゾリド ・テジゾリド |
| 効果 | 細菌のタンパク質合成の初期段階を阻害する独自の作用機序を持ち、静菌的に作用 |
| 主に効く病気 | ・MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) ・VRE(バンコマイシン耐性腸球菌) |
| 副作用 | ・血小板減少 ・消化器症状 ・末梢神経障害 ・乳酸アシドーシス |
オキサゾリジノン系は、経口薬でも注射薬と同等の効果が得られます。副作用として、血小板減少や消化器症状、末梢神経障害が起こる可能性があるので、医師の指示に従って適切に使用することが大切です。
抗生物質は細菌に対して効果を発揮するため、ウイルス性の感染症には効果がありません。ここでは、抗生物質が効くケースと効かないケースに分けて、該当する症状の例を解説します。なお、抗生物質による治療が必要であるか分からないときは、医療機関を受診して医師の診断に従いましょう。
抗生物質が効果を発揮するのは、細菌が原因となって引き起こされる感染症に限られます。一口に抗生物質といっても、ペニシリン系やセフェム系、マクロライド系などの種類の違いによって、効く細菌の種類や感染症の部位が異なります。抗生物質が効く疾患の例は、以下のとおりです。
たとえば、膀胱炎の主な原因となる大腸菌にはセフェム系やニューキノロン系が、肺炎球菌などにはペニシリン系やマクロライド系が有効な場合があります。症状が改善しても、自己判断で服用を途中でやめると再発する可能性があるため、医師に指示された期間は飲み切りましょう。
抗生物質はウイルスによる感染症や、細菌以外の病原体が原因の症状には効果がありません。風邪やインフルエンザといった感染症のほとんどはウイルス性で、このような場合に抗生物質を使用しても治癒期間は変わりません。そのため、ウイルス性疾患と判断された場合は、症状を和らげる対症療法が中心となります。抗生物質が効かない疾患の例は、以下のとおりです。
風邪の原因となるウイルスには、どの系統の抗生物質も効果がありません。また、水虫はカビが原因であり、抗真菌薬が必要です。抗生物質の不必要な使用は、薬物耐性菌を増やすことにつながるため、医師の指示を守ることが重要です。
抗生物質が処方されたら、症状が改善したとしても自己判断で服用を中止しないことです。抗生物質の服用を途中でやめてしまうと、体内に生き残った一部の細菌が再び増殖し、再発する可能性があります。また、生き残った細菌が薬に抵抗力を持つようになり、薬が効きにくい薬剤耐性菌を生み出す原因になります。
薬剤耐性菌が増えると、感染症の治療が困難になるリスクがあるため、医師や薬剤師から指示された期間・用量を守り、最後まで飲み切ることが大切です。加えて、ほかの人へ抗生物質を譲渡したり、以前処方された薬を自己判断で服用したりすることは、副作用や薬剤耐性菌のリスクを高めるため避けましょう。
内服薬の抗生物質は、薬局やドラッグストアなどでは市販されていません。ただし、目薬や塗り薬は、濃度を薄くしてほかの成分と混ざっているものが販売されています。
内服薬の抗生物質を入手したいときは、医療機関での受診が必要です。忙しくて病院に通う時間が確保できない場合、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。ただし、オンライン診療では原因の特定が難しいため、必ずしも抗生剤は処方されないので注意が必要です。
オンライン診療のメリットは、次のような点です。
体調が優れないものの、通院する時間がとれない場合は、オンライン診療の利用も検討してみるとよいでしょう。
抗生物質とは、細菌感染に対して効果のある薬です。そのため、風邪やウイルス性気管支炎のほか、インフルエンザ、ノロウイルスなど、ウイルス性の感染症には効果がないことを理解しておきましょう。
また、抗生物質は医師の診察を受けて処方してもらう薬で、薬局やドラッグストアでは入手できません。医師の処方により抗生物質を服用する際は、指示に従って処方された分を飲み切ることが大切です。
体調がすぐれないものの、忙しくて病院に行くのが難しいときは、オンライン診療を活用する方法があります。通院の手間がなく、自宅などから医師の診察を受けられるので、待合室で待つ必要がありません。忙しい方や症状がつらくて外に出るのが難しい方は、オンライン診療の活用を検討してみてください。
スマートフォンやPCを使って、自宅や外出先など全国どこからでも、かかりつけ医による診察を受けることができます。 医師により処方が行われた場合には、お薬のご自宅への配送や、薬局での当日受け取りが可能です。
通院の手間や待ち時間を減らし、プライバシーを守りながら、安心して医師へ相談できます。